エコノミークラス症候群を「旅行者血栓症」と呼ぶようになってきている
聞いたことありますかね?この病気。
なんか、飛行機に関連しそうな名前の病気ですよね。その名の通り関連しています。今日はそんな病気の記事です。
エコノミークラスに乗ってる人だけこの病気になるって勘違いされるので、最近は「旅行者血栓症」とかって呼ばれたりします。
医学的に言うと、深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症を併せた疾患概念です。
有名人で言うと、元サッカー日本代表でドイツとかでも活躍した高原直泰選手がビジネスクラスに搭乗中になったことのある病気です。
深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症って?
血管には静脈と動脈があります。動脈は心臓から手や足などの全身に血液を送る血管です。非常に強い力で送り出されています。静脈は反対に、手や足まで辿り着いた血液が心臓に戻って行く血管です。この力はそんなに強くないです。
基本的に静脈は切れても、血はダラーッと出るだけです。が、動脈は切れると血が噴水のように容易に1メートル程飛びます。それくらい血流の力には動脈と静脈で差があります。
さて、静脈は血流が弱いので、動脈に比べると血液が固まって血栓(血液の塊です)ができることがあります。通常の生活をしている中で血液が固まることはあまりないのですが、体を動かさないと血栓はできやすくなります。特に人間は上半身は座っていてデスクワークをしているときでも動かしていますが、下肢を動かさない瞬間というのは非常に多いです。
つまり体を長時間動かさないでいると下肢には血栓ができやすいということです。特に表面ではなく、深部の血管が詰まりやすいことが知られていて「深部静脈血栓症」と呼ばれています。
そして、その血液の塊がそのまま血管の中を流れていき、心臓をすり抜けて肺の動脈に詰まった病態が「肺塞栓症」です。これは非常に重症で、肺の動脈が詰まるので、肺での酸素交換ができなくなり、全身に酸素を送れなくなるため命を落とすことも多々ある病気です。
旅行者血栓症になりやすい状況とは?
下肢を動かさない状況にいるとなりやすいです。
・長時間の飛行機のフライト中
・長時間のバスや乗用車の中
・長期入院
・長時間手術
・高齢者
などが有名です。
他にも、先天的な病気や後天的な病気が原因で、起こることもある病気ですが、そのあたりは割愛します。
最近では、大震災時に数日間車内に避難していた人たちが、この病気を発症して亡くなるという社会問題も取り上げられています。
ちなみに、欧米人に比べると日本人はなりにくい病気であるとは言われています。
旅行者血栓症になると、どんな症状が出る?
深部静脈血栓症の症状の代表的なものは、下肢に痛み、腫れ、変色等です。
肺塞栓症の症状の代表的なものは、呼吸苦、胸の痛み、冷や汗、失神、動悸等です。
これらの症状は必ずしも、フライト中に起こるというわけではありません。フライト後2週間ほどしてから、血栓が飛んでいくこともあります。
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旅行者血栓症の予防策は?
機内で行える予防策は2つです。
①下肢を動かす
これが大切です。機内でも、下肢の運動を適度にしましょう。長時間フライトなら、立ち上がって少し歩くとかも大切です。
②水分を取る
脱水傾向になると、血栓ができやすくなります。なので、適宜水を飲むことが大切です。ビール等のアルコール類や、コーヒーなどは利尿作用があり、脱水になりやすいので、水を飲む方がいいです。
あとは、手術のときの深部静脈血栓症・肺塞栓症の予防策としては弾性ストッキングを利用したりします。
まぁ、めったになる病気ではないので、過度に心配する必要はないのですが、飛行機関連の病気は今後も少し記事にしたいなと思ってます。
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