新型コロナウイルがついに採用活動・就職活動にも影響を。ANAが2021年度の採用活動を中断。
今回の記事は、ANAの採用が中断になったという最新情報の詳細です。また、ブログらしく自分が今感じることを書いてみたいと思います。
新型コロナウイルスの影響はやはり広がっています。ANAが2021年度の採用活動を中断することをプレスリリースで公表しました。
また、後半では、このニュースを聞いて自分がどのように日々感じ始めているのか書いておきます。
ANAグループ2021年度入社に向けた採用活動の一時中断について
2020/5/8にANAより下記のプレスリリースがありました。
ANAグループでは、新型コロナウイルス感染拡大による影響で国内外の移動需要が急激に減退し、今後の事業計画を策定することが困難な状況であることから、2021年度入社に向けた採用活動を一時中断することとしました。採用活動の再開および時期については、今後の動向を慎重に見極めながら検討してまいります。
2021年度の採用については、本年3月以降、ANAやPeachをはじめとするグループエアラインでは、地上職や客室乗務職などで合計800名程度、ANAエアポートサービスやANA成田エアポートサービスをはじめとする日本国内の空港会社各社で1750名程度など、ANAグループ37社で計3200名程度を募集しておりました。
ANAグループ各社の採用にすでにご応募頂いている方々へは、各社採用担当者より別途ご案内させて頂きます。また、今後については都度、ANAグループ各社の採用ホームページ等でご案内いたします。
という内容です。
新型コロナウイルスの影響でANAが2021年度の採用活動を一時中断すると発表しました。まだ、採用しないと決めたわけではなく、一時中断と書かれているので、今後活動を再開し当初の予定通りの人数を採用するのかもしれません。もしくは、新型コロナウイルスの影響で、航空需要が大きく減少すると考えて、採用者数を大きく減らすなり、採用そのものが0になってしまうのかもしれません。現時点では何とも言えません。
ただ、航空業界で働きたいという夢を持って現在就職活動をしている方には、決して嬉しいニュースではないですよね。採用の枠が増える要素はなさそうな事態ですし。同様の動きは、世界中の航空会社で起こると思われるので、夢が断たれてしまう人数は必然的に増えることを想像すると、非常に痛ましい話です。
自分の場合に置き換えて考えると、自分が医師国家試験を受験した年だけ医師が多すぎるという理由で、国家試験の合格率を例年の半分にされるという事態があったら、相当悲惨な話ですからね・・・。
そんな状況が、本当にANAの採用に出てきそうとなれば、新型コロナウイルスの存在が心底憎いですよね。
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新型コロナウイルスと経済の共存は本当に大切
自分は普段、医師として働いています。趣味の一環で、このブログでマイル・ポイント・旅行関連の情報書いています。
医師として日々働いている中では、目の前にいる患者に対して、適切な医療を提供することが自分の仕事だと考えています。
ただ、そんな自分から見ても、どうにか経済との共存を社会は目指して欲しいと感じます。今回のANAの採用活動の一時中断のようなニュースを見ると、そういった気持ちは更に強くなります。ANAが採用数を減らすと、それだけ多くの人の夢が失われるわけです。これは本当に痛ましい話です。
少し細かな話になります。
感染症というものは、感染症法の中で病気の重症度に応じてグループごとに分類されています。一類感染症にはエボラ出血熱やペストなどが分類されており、死に直結するような非常に危険性が高い感染症が分類されています。二類感染症には、結核・SARS・MERSなど。三類感染症にはコレラや腸管出血性大腸菌感染症が含まれます。腸管出血性大腸菌感染症は、「O-157」のことと言えば、聞いたことがある人もいるかもしれません。季節性インフルエンザは五類感染症ですね。麻疹・風疹・おたふくかぜ・梅毒・淋病なんかも五類感染症です。
では、新型コロナウイルスは何類なのかというと、一類~五類のどれにもまだ分類されていないんです。新しい感染症だからですね。実は、新型コロナウイルスは「指定感染症」というものに分類されています。
https://www.kango-roo.com/work/7385/ より
指定感染症とは、感染症法ではまだ分類されていない感染症を、一時的にいずれかのカテゴリーと同等のものと当てはめて対応していくというようなものになります。一時的というのは通常は1年間のようです。その1年の間に、新型コロナウイルスの重症度などを判断して、最終的には一類~五類に分類されていくことになるんだと思います(自分は感染症の専門ではないので、そのあたりのプロセスは詳しくないです)。
さて、新型コロナウイルスの致死率なんかも徐々にデータが増えてきております。致死率50%とも言われるエボラ出血熱なんかと比べると、一類に分類することはないでしょう。二類のSARSで10%、MERSで30%の致死率とも言われています。新型コロナウイルスの国内の致死率は3%程度となっていますが、現状で無症候の感染者も多数いることがわかりつつあるので、致死率は更に低い感染症であることが徐々にわかってきています(国により大きく致死率が異なることもわかってきています)。
となると、新型コロナウイルスの感染症法での分類は、二類に分類される感染症とはほど遠く、どちらかというと致死率0.1%程度と言われる季節性インフルエンザにまだ近い病態で、三~五類感染症に分類されるのでは??と個人的には思っています。楽観視できるものではないが、悲観するほどのものでもないことがわかりつつある印象です。少なくとも国内においての話ですが。
なお、季節性インフルエンザは、国内で年間1000万人程度が罹患し、10,000人が死亡すると言われています。
最終的には、この新型コロナウイルスという感染症は、季節性インフルエンザよりはやっかいだが、季節性インフルエンザと同等に、社会と共存しながら、感染者が見つかれば自宅で安静待機が基本(重症なら入院)で、職場や学校などでクラスター・集団感染が発生すれば、学級閉鎖のような対応をとっていく。普段からとにかく手洗いを重要視して生活する。というような方向に最終的にはなると、今まで出てきている数字を見て勝手に想像はしています(自分の想像とは違う結末を感染症のプロは考えているかもしれませんが)。
また、本来なら一類感染法や二類感染症、そして新型コロナウイルスのような指定感染症というのは、感染者のみが入院措置の対象になるわけです。感染者以外には、一切関係がないはずなんですよ。感染者でもなんでもない人が、社会的な活動を制限されるのは変ですよね。
が、今回の新型コロナウイルスでは、自粛というものが強く要請されています。感染者でもない人々の生活に強い影響が出ているわけです。これは特措法というものの存在によるものですね。
感染症法で感染者の行動を制限し、特措法で感染者以外の社会活動を制限しているのが現状です。
そして、話はANAの採用中断に戻りますが、徐々に特措法による縛りの影響が強くなって、社会が正常な経済活動を行えなくなることにより、感染者でもなんでもない人々がANAへの就職機会を奪われる可能性が出てきたり、収入が激減したり、仕事を失ったり、そんな影響が大きくなってきているわけです。
医師という仕事をしている自分でも、本当にこの方向性は問題ないの?と疑問に思うことも多いです。感染していない人への影響があまりにも大きくなっていない?と感じるわけです。少なくも、命か経済かといような単純な二元論で片付く話ではないので、絶対にこうだとか人に簡単に言えるものではないです。なので、政治の判断が非常に重要になってきます。どのようなバランスで社会を成立させるのか。
自分は強く新型コロナウイルスの終息・収束を強く願っていますが、それ以上に強く願っていると言ってもいいのが、新型コロナウイルスのデータからリスクを正確に判断して、できる限り早期に適切な感染症法の分類に当てはめてもらいたいという点です。エボラ出血熱のような致死率・MERSのような致死率の病態なら、特措法のような法での活動の制限も必要かもしれませんが、インフルエンザに近いような病態なら、社会と共存しながら、社会活動は正常に行い、病気にも対応していくというスタンスも可能になります。そうなれば、多くの人の夢や生活を奪う必要もないわけですから。
ここに書いたことには、自分の希望的観測も多分に含まれています。新型コロナウイルスが季節性インフルエンザに近いものであってほしいというバイアスがかかっているただの個人のブログだと思ってください(ちなみに北海道医療大学学長の浅香正博先生も自分と似たような希望を述べられています)。様々なデータに目を通しているつもりではいます(特に実効再生産数には注目しています)が、正確な情報の収集のために、今後も感染症学会からの発表や、政府の専門家会議から出てくる内容には注視していきたいと思います。
最後に、自分のここまで書いた感想なんてどうでもいいので(笑)、是非皆さんに読んでもらいたい記事の紹介です。これを読んでくれる人が一人でも増えれば、自分がこの記事を書いた価値があります。
新型コロナウイルスに関するテレビの報道は本当にレベルが低いです。イラっとしてしまうことも多いです。少しでも、正確な情報を知るために、自分がオススメするのは感染症専門医の忽那賢志先生がYahoo!に投稿している記事です。医療従事者以外が読むことを前提に書かれており、新型コロナウイルスというのがどういうものなのか、非常にわかりやすく数字もしっかりと提示しながら書かれております。記事も日々追加されるので、情報のアップデートにも最適です。是非とも興味あるタイトルの記事だけでもいいのでチェックしてみてください。
ちなみに、忽那賢志先生は昔「くつ王」というブログを書かれていたようです。聞いたことある人もいるかもしれません。先日、下記のツイートで話題になりましたね。
20年以上前だと思うのですが
ネットでとても面白いブログを書いている人を見つけまして
あまりにも文章が面白いのでよく覗きに行っていたのですが
お医者さんになる所だった人だったらしく
忙しくなって更新が無くなってでも何年経っても気になって
時折、ペンネーム等の断片で検索をして>— 羽海野🍀チカ (@CHICAUMINO) April 17, 2020
新型コロナについて、私も素人ながら普通にインフルエンザに近いと考えています。スケスケさんのとても分かり易い説明は納得させられます。有難う御座います。
毎回 早い段階で情報が得られるので助かっております。今後も活用させて頂きますので、宜しくお願いします。
海と黒猫さん
これからもお互い正確なデータや情報を仕入れていきましょう!
いつも楽しく拝見&参考にさせてもらっています。
今年はGWにずっと家にいたのでニュースやワイドショーを見る時間が多かったのですが、
見れば見るほど、訳わからなくなってきました(笑)
そんなタイミングだったので、とてもわかりやすく参考になりました。
ありがとうございました。
ちなみにアジア人が致死率が低いのは、なぜなんでしょうね。気になります。
ほりさん
アジア系の致死率が低い理由は、現状で明らかになっているものはありません。
ただ、医師の間でも噂レベルになりつつあるものは、白血球の遺伝子タイプが異なるという点、手洗いや風呂が関係しているという点などなどが出てきています。
まだ本当の事実が論文レベルでの解明には数年はかかると思うので、今後にも注目したいと思います。
素晴らしい記事をありがとうございました!また色々教えて下さい。
いけださん
こちらこそ読んでいただきありがとうございます!